Instagramは、世界中で数多くの人々が利用する人気のプラットフォームであり、その体験を形作っているのが「アルゴリズム」です。しかし、Instagramのアルゴリズムは単一のものではなく、アプリ内の各機能(フィード、発見タブ、リールなど)の使われ方に応じて、それぞれ独自のランキングシステムが採用されています。
本記事では、「Instagramアルゴリズム」というキーワードに焦点を当て、その複雑な仕組みから、ユーザー、クリエイター、そして広告主がどのようにこのアルゴリズムを活用し、リーチや成果を最大化できるのかを、体系的に分かりやすく解説します。

目次
Instagramアルゴリズムの基本原則:パーソナライズされた体験の創出
Instagramが目指しているのは、利用者がプラットフォームで過ごす時間を最大限有意義なものにすることです。そのため、Instagramは利用者の興味・関心に合わせて表示されるコンテンツをパーソナライズしています。
コンテンツの表示順位を決定するにあたり、Instagramのアルゴリズムは以下の要素を総合的に評価します。
• シグナル: 投稿内容、投稿者、利用者の好みに関する数千個の情報が含まれます。例えば、投稿がいつシェアされたか、利用者がどのデバイスを使っているか、動画に「いいね!」する頻度などがシグナルとなり得ます。
• 予測: 利用者が特定の投稿に対して起こすであろうアクション(例:数秒見る、コメントする、いいねする、シェアする、プロフィール写真をタップする)の可能性を推測します。
• コミュニティ規定とガイドライン: 人々の安全を守るためのルールであり、違反するコンテンツは削除されたり、おすすめの対象外になったりします。
Metaは、利用者がInstagramで過ごす時間を有意義なものにするには、テクノロジーによるパーソナライズが最善の方法だと考えています。
Instagramの各機能におけるアルゴリズムの仕組み
Instagramアプリの各機能は、ユーザーが求める体験が異なるため、それぞれに特化したアルゴリズムが採用されています。
1. フィードのアルゴリズム:親しい人とのつながりを重視
フィードは、友達や家族、気になるもの・ことの最新情報を得るためのパーソナライズされたホーム画面です。
• 表示されるコンテンツ: フォロー中のアカウントの最近の投稿、利用者が興味を持つ可能性のあるフォローしていないアカウントのおすすめコンテンツ、および広告が表示されます。写真、動画、カルーセルなど、多様なフォーマットに対応しています。
• 重視されるシグナル(おおよその重要度順):
1. あなたのアクティビティ: あなたが「いいね!」、シェア、保存、コメントした投稿は、興味を判断する材料になります。
2. 投稿に関する情報: 投稿の人気度(いいね、コメント、シェア、保存の速さ)、投稿日時、位置情報など。
3. 投稿者に関する情報: 直近数週間でその投稿者が他の利用者とどれだけやり取りしたかなど。
4. あなたと特定の利用者とのやり取りの履歴: 特定の利用者の投稿にどのくらい興味があるか(互いの投稿にコメントしているかなど)。
• 特に重視するアクション(予測): 投稿を数秒見る、コメントする、「いいね!」する、シェアする、投稿者のプロフィール写真をタップする。
• その他の考慮事項: 同じ人による投稿やおすすめの投稿が連続して表示されないようにするなどの調整も行われます。
2. ストーリーズのアルゴリズム:日常の共有と親密性の追求
ストーリーズは、日常の出来事をシェアし、親しい人や興味があることをより近くに感じるための機能です。
• 表示されるコンテンツ: フォローしている人のストーリーズ(広告を除く)が表示されます。
• 重視されるシグナル:
1. 閲覧の履歴: あなたが見逃したくないと思われるアカウントのストーリーズを優先するため、各アカウントのストーリーズを閲覧している頻度。
2. エンゲージメントの履歴: そのアカウントのストーリーズに対して「いいね!」やDMの送信などのアクションを実行している頻度。
3. 関係の近さ: 投稿者との総合的な関係性と、その人と友達または家族である可能性。
• 特に重視するアクション(予測): ストーリーズをタップして見る可能性、ストーリーズに返信する可能性、次のストーリーズに進む可能性。
3. 発見タブのアルゴリズム:新たなコンテンツとの出会いを促進
発見タブは、新しいコンテンツやクリエイターを見つけやすくすることを目的としています。グリッドには、主にまだフォローしていないアカウントからのおすすめコンテンツが表示されます。
• 表示されるコンテンツ: 過去のアクティビティ(「いいね!」、保存、シェア、コメントした投稿など)に基づいてInstagramが探し出した、おすすめの写真や動画。
• 重視されるシグナル(おおよその重要度順):
1. 投稿に関する情報: 投稿の人気度(いいね、コメント、シェア、保存の速さ)。これはフィードやストーリーズよりもはるかに重要度が高いです。
2. 発見タブでのアクティビティ: これまでに「いいね!」、保存、シェア、コメントした投稿や、過去に発見タブの投稿にどう反応したか。
3. 投稿者とのやり取りの履歴: 過去に関わりを持ったことがある投稿者の場合、その投稿に対するおおまかな興味の度合い。
4. 投稿者に関する情報: 直近数週間で他の利用者がその投稿者にアクションを実行した回数など。
• 特に重視するアクション(予測): 「いいね!」、保存、シェア。
• 重要なガイドライン: コミュニティ規定に加え、**「おすすめ対象のガイドライン」**が適用され、不適切または不快と捉えられる可能性のあるコンテンツはおすすめされないように努めています。
4. リールのアルゴリズム:エンターテイメントと広範なリーチ
リールは、新しいものを発見し、エンターテイメントに特化した機能です。リールで表示される投稿のほとんどは、フォローしていないアカウントによるものです。
• 表示されるコンテンツ: 利用者が気に入る可能性の高いリール動画。
• 重視されるシグナル(おおよその重要度順):
1. あなたのアクティビティ: 最近「いいね!」、保存、再シェア、コメントをしたり、反応を示したりしたリール動画など。
2. 投稿者とのやり取りの履歴: 発見タブと同様に、関わりを持ったことがある投稿者への興味の度合い。
3. リール動画に関する情報: 動画のコンテンツ(オーディオトラック、映像)、人気度、解像度、フレームレートなど。
4. 投稿者に関する情報: フォロワー数やエンゲージメントの度合いなどの人気度。
• 特に重要な予測項目: リール動画を再シェアする可能性、最後まで見る可能性、「いいね!」する可能性、音源ページに移動する可能性(自分もリール動画を作りたいと感じたかどうかの尺度)。
• 重要なガイドライン: 発見タブと同じ「おすすめ対象のガイドライン」が適用されます。
• 露出が抑えられる可能性のある動画: 解像度が低い、透かしが入っている、ミュートになっている、枠線を含む、文字がメインの動画、すでにInstagramに投稿されている動画、政治的な問題を扱ったリールなどは露出が抑えられることがあります。
「シャドウバン」の真実とInstagramの透明性への取り組み
Instagramの利用者の間でたびたび話題になる「シャドウバン」について、Instagramは明確な説明や理由付けなしにアカウントやコンテンツが制限されたり非表示になったりすることは意図的に行っていないと公式に述べています。
その理由は、Instagramのビジネス上の利益は、クリエイターがオーディエンスにリーチし、成功を収める環境を提供することにつながるからです。広告購入を促すためにコンテンツの露出を抑えることはないとしています。
Instagramは透明性を高めるため、以下の取り組みを進めています。
• アカウントステータス: アカウントのコンテンツがおすすめの要件を満たしていない理由を確認し、コンテンツを削除したり、措置が誤りだと思われる場合に異議を申し立てたりすることができます。
• リーチ制限の理由通知: リール動画のリーチが制限されている理由(例:透かし)をクリエイターに伝える新しいお知らせの実験も行われています。
• 投稿のリーチに関する誤解: 投稿の「いいね!」やコメントが少ないのは、「シャドウバン」が原因ではなく、ほとんどのフォロワーがフィードに表示される投稿の半分も見ていないため、特定の投稿が常に同じ数のオーディエンスに届くとは限らないのが実情です。
ユーザーがInstagramアルゴリズムに影響を与える方法
ユーザーは、Instagramでの体験を自分好みにカスタマイズするために、表示されるコンテンツに能動的に影響を与えることができます。
1. フィードとストーリーズのパーソナライズ
• 「お気に入り」リストへの追加: 重要なアカウントを「お気に入り」に追加すると、そのアカウントからの投稿がフィードで上位に表示されます。
• フィードのカスタマイズ: 「お気に入り」または「フォロー中」のアカウントからのコンテンツのみが表示されるようにフィードを設定できます。
• おすすめの一時休止: フィードですべてのおすすめ投稿を30日間非表示にできます。
• 親しい友達の選択: ストーリーズで、特に親しい人とだけシェアできるように設定できます。
• 興味のないアカウントのミュート/フォロー解除: 投稿を見るのはやめたいがフォローは続けたいアカウントをミュートしたり、特定のアカウントの投稿を見ないようにフォローを解除したりできます(相手には通知されません)。
• アンケートへの回答: Instagramが送る「この投稿は見る価値があると思いますか?」などのアンケートに回答することで、おすすめの改善に貢献できます。
2. おすすめコンテンツの改善
• 「不適切なコンテンツのコントロール」の調整: フォローしていないアカウントからの不適切なコンテンツの表示レベルを調整できます(18歳未満の利用者は「増やす」オプションを選択できません)。
• 「興味がない」の選択: おすすめの投稿で「興味がない」を選択すると、類似コンテンツの表示を減らすことができます。
• 見たくない語句や絵文字の除外: キャプションに見たくない特定の語句や絵文字が含まれるおすすめの投稿を非表示にできます。
• ポリシー違反コンテンツの報告: Instagramのポリシーに違反していると思われるコンテンツは報告ツールを使って報告できます。これにより、類似コンテンツの表示順位が下がります。
まとめ:Instagramアルゴリズムを理解し、活用する
Instagramのアルゴリズムは、単一のシステムではなく、各機能の目的に合わせて最適化された複雑かつ非常にインテリジェントなシステムです。このアルゴリズムは常に進化しており、ユーザーの行動、コンテンツの質など、多様なシグナルに基づいて、一人ひとりに最適なコンテンツ体験を提供することを目指しています。
• ユーザーとして: 自身の興味関心に合わせて積極的に設定を調整し、パーソナライズされた快適な体験を作り出すことができます。
• クリエイターとして: 各機能のアルゴリズムが重視するシグナルや予測を理解し、それに沿った質の高いコンテンツ制作とエンゲージメント戦略を立てることが、リーチとフォロワー増加の鍵となります。
Instagramのアルゴリズムは常にアップデートされるため、最新の情報を追いかけ、柔軟に戦略を適応させていくことが、Instagramでの成功への最も確実な道となるでしょう。